こんにちは!はやっしーです!
今回はビッグバンドにおけるトロンボーンの役割について考察してみたいと思います!
トロンボーンはどんな楽器?
まずトロンボーンとはどんな楽器なのかをまず紹介します。
トロンボーンとは金管楽器の一種で、トランペットと同じ時期に出来た楽器です。
演奏方法はスライドと呼ばれる伸縮機能を用いて音程を変えるように演奏されます。
別名神の楽器とも呼ばれています(詳細は後述)。
ビッグバンドで主に使われるものは3種類あるので、それぞれを画像と共に紹介します!
①テナートロンボーン

出典:山野楽器
ロータリーやF管と呼ばれる複雑な構造物がついていない、いわば最も単純な構造をしているトロンボーンです。
②で紹介されるテナーバストロンボーンよりも管の太さが細めに作られているものが多く、明るめなサウンドがします。
その長所を活かし、ジャズなどのポップス系統の音楽場面で多く使用される傾向にあります!
ビッグバンドでは主に1-3番で用いられます。
②テナーバストロンボーン

①で紹介したテナートロンボーンに「F管」と呼ばれる管やロータリーという丸いものを取り付けたものがテナートロンボーンです。
F管とは、画像左上のぐるぐると巻いてあるものを指します。音は少し太めで厚みのある音が出ます。
頭のいい方ならお判りでしょうが、テナートロンボーンに低音域を拡大した楽器であり、F管を用いる事によってスライドの遠いポジションを使わなくても演奏が可能です!
そのため、オーケストラや吹奏楽では音域の広さを武器に、このテナーバストロンボーンが最も広く用いられています。
勿論ジャズでも使われており、高音から低音まで満遍なく鳴らせる楽器です。
③バストロンボーン

②で紹介したテナーバストロンボーンにより大きなベルと太い管を装備したものがバストロンボーンです。
ですので、テナーバストロンボーンよりも太くて厚みのある音が出ます。その上、低い音を他のトロンボーンよりも容易に鳴らす事が出来ます。
低い音を容易に鳴らせる特権を活かし、ジャンルを問わず低音のパートを任されることが多いです。
どうして神の楽器と呼ばれるのか?
ここまでトロンボーンの種類について話してきました。
ではここで冒頭に書いた「トロンボーンは神の楽器」と言われるゆえんについて説明したいと思います。
元々トロンボーンは貴族の宮廷や教会といったお金持ちの世界で広く使われていました。
そして一時期は俗世から離れていました。なぜなのか。これには理由が2つあります。
①自由に半音階を演奏できる唯一無二の金管楽器であったため、重宝された。
②人間の声の音域に近いため。
他の金管楽器や木管楽器は指を動かさないと音を変えられません。
しかし、トロンボーンはスライドで音を変えられたため、その障壁が少なかったのではないか、と言われています。
また、人間に声の音域に近いという事は人間に最も近い唯一無二の楽器であるという事の証明にもなります。
この事から、トロンボーンは神の楽器としてたたえられていたのです。
その影響か、15世紀ごろから俗世を離れて、先述の宮廷や教会といったお金持ちの世界の楽器となり、宗教観の強い楽器へと変貌していったのです。
しかし、18世紀になり、とある作曲家によってその状況は一変します。
それは誰か。
ベートーヴェン。
彼の作った名作、「運命」。
宗教観の強いトロンボーンを初めて俗世的な音楽に用いたのがこの曲であり、生みの親であるベートーヴェンが初めて使ったのです。
その後彼は様々な楽曲にトロンボーンを使用し、後世でトロンボーンがオーケストラやビッグバンドの世界で定着するきっかけを作ったのです。
ビッグバンドではどんな編成で使われているのか?
ここまでトロンボーンの種類やエピソードを話してきましたが、ビッグバンドにおけるトロンボーンの編成はどんなものなのか、実例を持ち出しながら紹介していきます。
なおここでのビッグバンドとは、ラージアンサンブルやビッグコンボ、スモールビッグバンドといった類は外し、15人以上で活動してきているビッグバンドを指す事とします。
3人編成
まずは3人編成で組まれる場合を紹介します。
この時は
①テナートロンボーン×2+テナーバストロンボーン×1
②テナートロンボーン×2+バストロンボーン×1
の2パターンがあります。
テナーバストロンボーンとバストロンボーンの違いは正直バンドの個性によるところが大きいです。ですので、この場合は
テナートロンボーン2本にバストロンボーンかテナートロンボーンが1本
と覚えておきましょう。
カウントベイシーオーケストラの古い写真の中に3本で写っている写真があったので貼っておきます。

Promotional portrait (by the Scotty Bjurstrom Agency) of American musician Count Basie (1904 1984) (right) as he plays piano and leads his jazz orchestra, circa 1950. (Photo by Transcendental Graphics/Getty Images)
この編成の例としては、1963年頃までのCount Basie Orchestra(カウントベイシーオーケストラ)や、Duke Ellington Orchestra(デュークエリントンオーケストラ)、Buddy Rich Big Band(バディーリッチビッグバンド)などが有名です。
分かりやすい映像がいくつかYouTubeにあったので、貼っておきます!
Rockin’ In Rhythm / Duke Ellington Orchestra
1:55辺りが分かりやすいです。
Easin’ It / Count Basie & His Orchestra
0:59辺りの全体の絵図が分かりやすいです。
Love For Sale / Buddy Rich Big Band
4:00辺りの引きの絵図が分かりやすいです。
今紹介した3曲はどの曲も聴いてて楽しくなれる曲なので、編成を確認すると共に是非見ていただきたいです!
では4人編成に参ります!
4人編成
次は4人編成で組まれる場合を紹介します。
この時は
①テナートロンボーン×3+バストロンボーン×1
②テナートロンボーン×2+テナーバストロンボーン×1+バストロンボーン×1
の2パターンがあります。
①と②の違いはテナートロンボーンの割合です。
テナートロンボーンは上でも紹介したように低音がテナートロンボーンより鳴らしやすいので、3番トロンボーンがテナーバストロンボーンに置き換わる事も最近では増えてきました。
この編成の例としては、1964年以降のCount Basie Orchestra(カウントベイシーオーケストラ)や、Gordon Goodwin’s Big Phat Band(ゴードングッドウィンズ ビッグファットバンド)や、Glenn Miller Orchestra(グレンミラーオーケストラ)などが有名です。
分かりやすい映像がいくつかYouTubeにあったので、貼っておきます!
In The Mood / Glenn Miller Orchestra
2:00辺りのドアップが一番分かりやすいです!
In A Mellow Tone / Count Basie & His Orchestra
1:43辺りが分かりやすいです!またこの曲はトロンボーンソロもあるので、是非聴いてください!
Race To The Bridge / Gordon Goodwin’s Big Phat Band
2:50辺りからのトロンボーンソリに注目してください!
※ソリとは:複数人でメロディー(主に和音)を吹く事を指します。
本題。トロンボーンの役割とは?
さてここまでビッグバンドにおけるトロンボーンの基礎知識を話してきましたが、いよいよ本題です。
ビッグバンドにおけるトロンボーンの役割とは?
ここ、僕も随分と悩まされました。
しかしようやく僕の中で一つの結論が出ました。
それはアンサンブルにおける基礎的な和音を担い、バンドの骨組みをリズム隊に近いところで担っている。
どういう事だと思った人もいるでしょう。大丈夫です。今からきちんと解説します。
楽器にはそれぞれに任された役割がある。
ビッグバンドをよく聴いてみて欲しいのですが、トランペットには高音が多く、サックスには細かいフレーズが多く割り当てられていると思いませんか?
それはその楽器の長所が活かされているという役割があり、サックスには細かいフレーズがある。
それさえあればいいんじゃない?って思ってました。
恐らく皆さんにとっても、トロンボーンのイメージはこんなものがあるのではないでしょうか?
地味。目立たない。たまに目立つ。
僕もこう思ってましたし、別にトロンボーンなんてそんなに大事じゃない…って思ってました。
しかしある時、これを覆す、またトロンボーンそのものについて大きく考えさせられた大事件が起きます。
これは別記事でまとめているので、そちらからご覧ください。
この中で最も重要な事はたった一つ。
トロンボーンパートは管楽器の中でも比較的協調性が問われるパートである事。
これがなぜ大事なのか。それはトロンボーンパートはビッグバンドの管楽器におけるアンサンブルの中で、最も基礎的な和音を吹いている事がほとんどだからです。
つまり、リズム隊の役割でもある骨格部分を担う役割があるからです。
これは現代的な曲に近づけば近づくほどそうなっています。
よく考えて欲しいんです。
サックスやトランペットといったパートはビッグバンドの中でも花形と言われるように、かっこいい場面が多いです。それだけ装飾要素が強めなパートなんです。
だからサックスにはサックスしか出来ない細かいフレーズの動きがあるし、トランペットはものすごく高い音も多い。
つまり、目立つ個性を持っているという事なんです。
逆に言えば楽器の個性として持っているものが偶然にも輝くべき要素だったとも言えます。
しかしトロンボーンパートは上記2パートよりは装飾的観点から見ればその要素は薄いでしょう。その代わりサックスやトランペットの輝く裏でそれをより輝かせるようになっているんです。
つまり、トロンボーンパートは縁の下の力持ちとしての機能が強く、その役割を担っているんです。
逆に言えば楽器の個性として持っているものが偶然にも縁の下の要素だったとも言えます。
だからこそトロンボーンパートがしっかりアンサンブルすればトランペットが少しキツくても頑張れる上にバンドとしても成立しやすくなります。
逆にいくらトランペットが吹いてもトロンボーンがきちんとアンサンブルしなければバンドとして成立しにくくなる。
それだけトロンボーンパートは屋台骨として、見えない所で頑張っているという事なんです。
長くなりましたので復習します。ビッグバンドにおけるトロンボーンの役割とは何か。
それはアンサンブルにおける基礎的な和音を担い、バンドの骨組みをリズム隊に近いところで担っている。
これを忘れないでくださいね。
最後に
いかがでしたか?今回はビッグバンドにおけるトロンボーンの役割について書いてみました。
基礎知識として知って欲しい事も書きましたし、おすすめの曲も載せましたので随分長くなってしまいました。
それだけこのような役割というのは考える価値があるという事なんです。
是非皆さんにもこの役割を理解していただいた上でビッグバンドを楽しんでほしいなあと思います。
という事で、はやっしーでした!